世の中で語られている「国の借金(国債)」に関する話は、実はデタラメばかりであることをご存知でしょうか。元大蔵官僚の髙橋洋一氏が、自身の経験をもとに、日本独自の奇妙な仕組みと財務省がひた隠しにする真実を解説します。
世界でも日本だけ?「債務償還費」の正体
多くの日本人は、国債を返済するために「債務償還費」を予算に計上するのは当然だと考えています。しかし、髙橋氏が35年ほど前に大蔵省の国際課にいた際、国際会議でこの日本の仕組みを説明したところ、諸外国の担当者から笑われたというエピソードがあります。
実は、借金の返済のためにさらに借金(国債発行)をするという「減債基金(シンキングファンド)」のような仕組みを持っている国は、現在、世界を見渡しても日本くらいしかありません。諸外国では、満期が来たら単純に「借り換える」のが一般的であり、わざわざ税収などから償還費用を捻出するという発想自体が、現代の政府会計では「アホなこと」だと見なされているのです。
60年償還ルールと「特例法」の活用
日本には「60年償還ルール」という独自の決まりがあります。これは国債残高の60分の1(約1.6%)を毎年、債務償還費として計上するというものです。
しかし、このルールは絶対ではありません。法律には計上の義務が書かれていますが、「特例法」を作ることで計上をストップさせることが可能です。髙橋氏が現職時代に実際にこれを行った際、「国債が暴落する」と反対する声もありましたが、実際には国債の暴落など起こりませんでした 。なぜなら、他の国はそもそもそんな費用を計上していないため、マーケットにとっては「計上しないのが普通」だからです。
「利払い費」の計算方法に隠されたトリック
国債のコストとしてもう一つ挙げられるのが「利払い費」ですが、ここにも大きな誤解があります。
- グロスとネットの違い:日本の予算書に記載されているのは「グロスの利払い費」です。一方、アメリカなどは政府が保有する金融資産の金利収入を差し引いた「純利払い費(ネット)」で考えます。
- 実質ゼロに近いコスト:政府関係会社を含めた資産を合算して計算すると、日本の実質的な利払い費はほぼゼロに近いのが実態です。
金利が上がれば政府が持つ資産の金利収入も増えるため、「純利払い費」で考えれば金利変動の影響はほとんどないのです。
財務省が予算を「水増し」する本当の理由
では、なぜ財務省はわざわざ利払い費を多めに見積もるのでしょうか。そこには、官僚組織特有の「財源確保」のテクニックが隠されています。
髙橋氏が大蔵省時代、金利予測をして予算を組もうとしたところ、上司から「予測金利をプラス2%(あるいは1%)で持ってこい」と指示されたといいます。これだけで、予算上の利払い費は1兆円〜2兆円も膨れ上がります。
この「水増し」された予算は、金利が予測通りに上がらなければ「不用(使わなかったお金)」となります。そして、この余ったお金が、年度末の「補正予算」の財源として利用されるという仕組みなのです。つまり、最初から補正予算の財源を確保するために、わざとデタラメな利払い費を計上しているというのが実態です。
まとめ:正しい知識で「財政危機」の嘘を見抜く
「債務償還費があるから増税が必要だ」「金利が上がると利払いで国が滅びる」といった言説の多くは、こうした日本の特殊なルールや、財務省の予算作りのテクニックを隠したまま語られています。「債務償還費はなくても大丈夫」であり、「利払い費は資産と相殺すればほぼゼロ」であるという事実は、日本の財政問題を考える上で極めて重要な視点です。










